TL;DR: GGM(ゴードン成長モデル)は「将来の配当」で株式のフェアバリューを算出する手法。長期安定配当の大型株に特に適し、公式はわずか 1 行:P = D1 ÷ (r − g)。
基礎編
GGM とは?なぜ「永続成長」?
GGM の正式名称は Gordon Growth Model(ゴードン成長モデル)、経済学者 Myron Gordon が提唱。中核となる仮定はシンプル:会社は永遠に存続し、毎年配当が一定の速度で成長する。
少し理想化に聞こえる?そう、しかし NTT や東京電力のような成熟した安定配当の大企業には、この仮定は十分妥当です。
公式:
P = D1 ÷ (r − g)
- P:株式のフェアバリュー
- D1:来年予想される 1 株あたり配当
- r:期待する投資収益率(割引率または要求収益率とも)
- g:配当の永続成長率
公式をやさしく解釈
来年の予想配当が 50 円、期待年率収益率が 8%、その会社の配当が年率約 3% で成長すると想定。
公式に代入:P = 50 ÷ (0.08 − 0.03) = 50 ÷ 0.05 = 1,000 円
現在株価が 1,000 円未満なら「割安」、買いを検討する価値あり。
ここで重要なポイント:r は g より大きくなければならない。配当成長率が期待収益率を上回ると、公式が破綻(マイナスや無限大の結果)し、このモデルは適用不可。
GGM と DDM の違い
DDM(配当割引モデル)を聞いたことがあるかもしれませんが、GGM は実は DDM の「特殊版」。DDM はより広範な概念で、不規則な成長の配当も扱えます(例:最初 5 年は高成長、その後安定)。GGM は最もシンプルなシナリオのみ:配当が永遠に一定速度で成長。
簡単に言えば:
- DDM = 汎用版、柔軟だが計算複雑
- GGM = 簡略版、想定はシンプルで素早く使える
10 年以上安定配当の成熟企業を分析するなら、GGM で十分。成長企業や配当不安定な会社には、より複雑な DDM や DCF が必要。
実践編:CTSstock での見方
CTSstock のバリュエーションタブには GGM 計算機が内蔵されているので、手動で公式を当てはめる必要はありません。
操作手順:
- 任意銘柄の分析ページに進み、上部の「バリュエーション」タブを選択
- GGM(ゴードン成長モデル)セクションを探す
- システムが過去数年の平均配当を参考値として自動入力
- 「期待収益率 r」と「配当成長率 g」を自分で調整
- 計算ボタンを押すと GGM フェアバリューが表示
「配当政策」タブで過去数年の配当が安定しているか、成長率はどの程度かを確認してから g 値を設定すれば、より参考価値の高い結果が得られます。
よくある質問
Q:GGM はすべての銘柄に適用可能?
不適用。GGM は大型・成熟・安定配当の会社に最適:通信株、金融株、公益事業株など。無配当の成長株(初期のテクノロジー企業)や、配当変動の大きい景気循環株では、GGM の結果は非常に不正確になります。
Q:「永続成長率 g」をどう推計?
最も一般的な方法は過去 5〜10 年の配当成長率の平均値。もうひとつは ROE ×(1 − 配当性向)で推計する「持続可能成長率」と呼ばれる手法。一般的に成熟企業の g は 2%〜5% の範囲。8% 超の永続成長率は通常妥当でない(永遠に高速成長できる会社は存在しないため)。
Q:GGM の計算結果を直接売買判断に使える?
単独使用は推奨しません。GGM はバリュエーションツールのひとつに過ぎず、r と g の微小な変動で結果が大きく変わる。他のバリュエーションモデル(PER、EV/EBITDA など)と組み合わせて見ることを推奨。複数モデルが同じ方向を指せば判断の信頼度が高まります。