TL;DR: 日中でよく見られる三つは、実はすべて同じ価格軸上の座標です。CDP 水準(前営業日の高値・安値・終値から算出する五つの参考価格)は「上下どのあたりまで」を示し、価格帯別出来高は「当日の出来高がどの価格に積み上がったか」を示します(最大の帯が POC)。そして VWAP(当日累積平均価格)は「今日の参加者の平均コスト」を示します。三つを重ねて初めて、現在値の位置が分かります。いずれも価格の位置と約定の分布を説明するものであり、値動きの予測でも投資助言でもありません。
基礎編
なぜ「水準」と「出来高」を同じ図に重ねるのか
水準は「どこで抵抗を受けやすいか」に、出来高は「実際にどれだけ約定したか」に答えます。別々に見ると、どちらも話の半分しか語っていません。出来高がほとんど伴わない水準は計算上の線にすぎず、逆に一日中出来高が積み上がった価格帯は、市場自身が見つけた重心です。
同じ価格軸に重ねると、本当に役立つ問いが立てられます。現在値は最も近い水準からどれだけ離れているか。その水準に今日の出来高はあるか。出来高の重心は水準の上か下か。
CDP の五つの水準
CDP(Contrarian Operation System=逆張り操作システム)は、前営業日の高値 H・安値 L・終値 C から算出します。
- CDP(中枢) = (H + L + 2C) ÷ 4 —— 前日の重心。他の四つはここから導かれます
- NH(近い高値) = 2 × CDP − L
- NL(近い安値) = 2 × CDP − H
- AH(最高値) = CDP + (H − L)
- AL(最安値) = CDP − (H − L)
上から AH・NH・CDP・NL・AL の順です。慣習として中枢より上はレジスタンス寄り、下はサポート寄りと見なし、AH と AL は前日の値幅をもう一段ずつ上下に伸ばした極端な参考値です。
注意点は三つ。①単日・翌日ザラ場向けの参考帯であり、数か月単位のスイング水準とは時間軸が異なります。②完全に前日の価格だけで決まり、当日の材料や出来高は式に入りません。③前日の値幅が広いほど五本の間隔も広がります——前日が極端に狭ければ五つが密集し、参考価値も下がります。
価格帯別出来高と POC
価格帯別出来高は、当日の出来高を時間ではなく価格帯ごとに積み上げたものです。横棒が長いほど、その価格でよく約定したことを意味します。
最も長い帯が POC(Point of Control=最大出来高価格) です。当日の重心と見なされることが多く、その価格で最も多くの株数が入れ替わった=市場の合意が最も厚い価格帯だと解釈されます。
軸の違いに注意してください。通常の出来高柱は「どの分に出来高が多いか」、価格帯別出来高は「どの価格に出来高が多いか」。同じデータでも、積み上げ方を変えれば答える問いが変わります。
VWAP:今日の平均コスト
VWAP は当日の出来高加重平均価格です。各約定(または各分)の価格に出来高を掛けて合計し、総出来高で割ります。出来高で重み付けするため、始値・高値・安値・終値の単純平均より「実際に支払われた価格」に近くなります。
価格が VWAP より上なら、その時点の買い手は平均して含み益、下なら逆です。VWAP は寄付から累積するため、引けに近づくほど安定します。寄付直後は標本が少なく、価格にほぼ張り付くので参考になりません。
ストップ高・安:軸の天井と床
台湾市場の上場・店頭・イノベーションボード銘柄と ETF には 1 日 10% の値幅制限があります。前日終値に ±10% を掛け、呼値単位に丸めた価格が当日のストップ高・安です。これは当日の価格の物理的な上下限なので、価格軸の最上端と最下端に置くのが自然です。エマージング銘柄には制限がなく、この境界も存在しません。
実践編
図の読み方:三つの問い
- 現在値はどの区間か。 現在値の線が色帯のどこにあるか——中枢の上か、中枢と近い安値の間か。これが「位置」です。
- 出来高の重心はどこか。 最も長い帯(POC)を探します。POC が現在値より上なら、当日の約定の多くはより高い価格で起きたということです。これが「分布」です。
- 現在値は VWAP からどれだけ離れているか。 上か下かで、当日の買い手の平均的な状況が決まります。これが「コスト」です。
三つは独立していて、合わせて初めて一文になります。例:「現在値は中枢の下・安値寄り、出来高の重心はやや上、平均価格も割り込んでいる」。これは位置と分布の説明であり、次の足の予測ではありません。
ありがちな三つの誤読
- 水準を「必ず反発/必ず抑えられる線」と考える。 水準は統計的な参考価格で、抜けることは日常茶飯事です。
- POC をサポートと考える。 そこで最も多く出来高が入れ替わったという事実にすぎず、再訪時に支える保証はありません。
- 寄付直後に VWAP を見る。 標本が少なく、価格にほぼ一致します。
データの口径と限界(重要)
CTSstock の「日中足」タブは約 60 秒ごとのスナップショットを累積したものです。したがって、
- 価格帯別出来高は価格帯で集計した推定値であり、歩み値ではありません。1 分内の値動きは 1 点に潰れます。
- 歩み値の売買方向が無いため、内出来・外出来(売り方・買い方の約定)を区別できません。よって赤緑に分けず単色で表示します。
- POC の分解能は呼値単位(例:50 元未満は 0.05 元刻み)に制約されます。集計もこの単位で行います。
- 平均線は当日累積 VWAP です。引け後は当日全体の推移を表示します。
口径を知って初めて、この図が答えられる問い・答えられない問いが分かります。より細かい内外出来や歩み値には別のデータソースが必要です。
まとめ
水準(CDP)、出来高の重心(POC)、平均コスト(VWAP)はそれぞれ別のことを語り、一本の価格軸を共有します。現在値が三つを横切ることで、位置が一目で分かります。これらが説明するのは当日の約定構造であり、翌日の方向ではありません。シグナルランプではなく、板を見るための座標系として使うのが正しい使い方です。本記事はテクニカルな参考・教育目的であり、投資助言ではありません。