TL;DR:棚卸資産回転率は在庫の販売速度、売掛金回転率は代金回収速度、総資産回転率は資産活用効率を測定 — 3 指標で会社の経営効率を判断できます。
基礎編
棚卸資産回転率:在庫が一周するまでの期間?
棚卸資産回転率の公式:
棚卸資産回転率 = 売上原価 ÷ 平均棚卸資産
平易に言えば、会社の在庫が 1 年で何回転するか。回転率が高いほど商品が早く売れ、在庫管理が良好。
日数換算するとより直感的:
棚卸資産回転日数 = 365 ÷ 棚卸資産回転率
棚卸資産回転日数 60 日 = 仕入から販売までの平均が 2 ヶ月。
棚卸資産回転率の注目ポイント:
- 数字よりトレンド:回転日数が 45 日から 90 日になれば、商品の売れ行きが悪化中。需要低下または過剰仕入の可能性
- 同業と比較:ファストファッションの回転率は高級ブランドより速い、業種特性で良し悪しではない
- 売上と組み合わせ:売上成長しながら棚卸資産回転率低下 = 売上を伸ばすため過剰在庫を抱えている可能性
売掛金回転率:顧客の支払までの期間?
売掛金回転率の公式:
売掛金回転率 = 売上 ÷ 平均売掛金
会社が顧客債権を回収する速度を測定。回転率が高いほど代金回収が速い。
日数換算:
売掛金回転日数 = 365 ÷ 売掛金回転率
売掛金回転日数 30 日 = 顧客が平均 1 ヶ月以内に支払い。
売掛金回転日数延長の可能性:
- 顧客の支払能力悪化
- 売上獲得のため信用期間延長(質の悪い売上成長)
- 業界景気後退で全員が支払遅延
総資産回転率:資産は効率的に使われているか?
総資産回転率の公式:
総資産回転率 = 売上 ÷ 平均総資産
会社の 1 円の資産が生み出す売上を測定。回転率 1.5 = 資産 1 円が 1.5 円の売上創出。
会社タイプで大きく異なる:
- 軽資産会社(ソフトウェア、コンサル):回転率高め、実物資産が少ない
- 重資産会社(半導体、鉄鋼):回転率低め、大規模工場・設備が必要
総資産回転率はデュポン分析の 3 大要素のひとつ、ROE に直接影響。
実践編:CTSstock での見方
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- 同業比較で効率は先行 or 遅れ?
- 棚卸資産回転日数急増時、売上低下が伴うか確認
よくある質問
Q:棚卸資産回転率は高いほど良い? A:多くの場合 Yes、ただし高すぎは在庫不足で受注機会喪失の可能性。重要なのは安定性と同業との同等性。
Q:なぜ棚卸資産回転率がない会社がある? A:サービス業やソフトウェア会社はほぼ実物在庫なし、この指標は不適用。この場合、売掛金回転率と総資産回転率がより重要。
Q:これらの回転率と利益の関係は? A:直接的関係。回転率高い = 同資産でより多くの売上創出、間接的に ROE 向上。これがデュポン分析が総資産回転率を ROE の 3 大ドライバーのひとつとする理由。