Sortino と下方偏差 — 下落変動のみをペナルティするレシオ
本記事は当サイト4 段階教育構造を採用:コンセプト / 当サイトの計算方法 / 数字の見方 / 注意事項。
1. コンセプト
シャープレシオは最も使われるリスク調整後リターン指標。しかし不合理な仮定を含む:
シャープは「上昇変動」もリスクと見なす。
「急騰株」は標準偏差が高くなり、シャープの分母が上昇変動で拡大、スコアが逆に低下。しかし急騰は投資家にとって好事、ペナルティすべきでない。
これが Sortino 誕生の理由:
Sortino = 超過リターン / 下方標準偏差
下方標準偏差 = √(mean(min(Rt − target, 0)²))
「target 未満の日」のみの偏差を計算。通常:
- target = 0 → 損失日のみの標準偏差
- target = Rf → 無リスク金利未満の日のみ
これで「上昇変動」が完全に分母に影響しない、投資家の「リスク」直感的定義により合致。
2. 当サイトの計算方法
公式
Sortino = (年率リターン − 年率 Rf) / 年率下方標準偏差
ここで:
年率リターン = mean(日次リターン) × 252
年率 Rf = Rf_daily × 252
年率下方σ = sqrt(mean(min(Rt − 0, 0)²)) × √252
Target 選択
当サイトは target = 0 を採用(「損失日」vs「非損失日」を区別)。理由:
- 銘柄横断比較が容易(各銘柄の Rf は同じ)
- 個人投資家の理解度最高(「この銘柄は普段どれくらい激しく下落するか」)
MAR(Minimum Acceptable Return)版を望む場合、フロントエンドで rf_daily を target として置き換え可能(バックエンドは既にサポート)。
Rf の取得
v2.43 全サイト動的 Rf ルールを継承:
- 優先
^IRX米国 13 週 T-Bill 当日利回り - CBC 10 年国債利回りに退却
- 最終 fallback 1.5%
年率 Rf はカードホバーで表示、現在使用中の値が明確。
個別銘柄 vs ポートフォリオ
- 個別銘柄:過去 252 取引日のシンプル日次リターン
- ポートフォリオ:ポートフォリオ日次 NAV から導出した日次リターン
- 両者の公式、target、Rf は完全に一致、直接比較可能
サンプル不足
サンプル < 60 日 または 下方 σ = 0(履歴上損失日なし)時、available: false を返し数字非表示。
3. 数字の見方
水準表
| Sortino | 判読 |
|---|---|
| > 2.0 | 🟢 優秀 |
| 1.0〜2.0 | 🟢 良好 |
| 0.5〜1.0 | 🟡 合格 |
| 0〜0.5 | 🟠 ボーダー |
| < 0 | 🔴 リターンが無リスク未満 |
シャープ vs Sortino 対照
最も実用的なテクニック:同銘柄のシャープと Sortino を比較。
| シャープ | Sortino | 解釈 |
|---|---|---|
| 1.0 | 1.0 | 上下変動対称(正常株) |
| 1.0 | 2.0 | 上昇変動大、下方リスク低 → 良い銘柄がシャープに過小評価 |
| 1.0 | 0.5 | 下落日多 → シャープが捉え損ねたリスク |
| 負 | 負 | ファンダメンタル悪、検討不要 |
経験則:Sortino / シャープ比 > 1.3 の銘柄は通常「下落少なめ」、優先注目価値あり。
ポートフォリオ Sortino の応用
ポートフォリオ Sortino =「この戦略の下方リスク調整後パフォーマンス」。
- ポートフォリオ Sortino > 1.0 → 持続可能
- ポートフォリオ Sortino < 0.5 → 配分調整検討(負相関資産追加、高ボラポジション縮小)
P0.2 相関行列と組み合わせて見ると効果最大:低 Sortino + 高相関 = 再配置必須。
4. 注意事項
⚠️ シャープと「正しい / 間違い」ではなく視点が異なる
- シャープは戦略の総合リスク特性評価に適する(総ボラ含む)
- Sortino は投資家の痛みの視点からのリスク評価に適する(下落のみ)
両方を見るべき。1 つだけ選ぶなら、ポートフォリオ管理界では徐々に Sortino 選好だが、シャープは依然として学術ベンチマーク。
⚠️ 急騰株の Sortino は虚増
サンプル期間中に上昇のみで下落なし(2023〜2024 年の AI 株など)の銘柄は Sortino が非常に高くなる、または無限大(下方 σ = 0 → 当サイトで unavailable 表示)。
この Sortino を持続可能と思わないように。市場が反転すれば下方 σ が急速に蓄積し Sortino は崩壊。
⚠️ サンプルバイアスが最も深刻
Sortino はシャープより裾事件への依存度が高い。252 日内にちょうど大下落なし:
- 下方 σ が小さい
- Sortino が虚増
- 実際に下落発生でスコアが急落
対策:P1C.1 の VaR / CVaR と組み合わせ。VaR/CVaR はサンプルに大下落がなくても「リスクなし」とは答えず、「計算不能」(サンプル不足)と答える。
⚠️ 短期には不適
- 短期過ぎ(< 3 ヶ月)はサンプル不足、Sortino が振動
- 当サイトは下限 60 日、252 日で参考価値あり推奨
⚠️ Target の哲学的選択
当サイトの target = 0 の理由は前述。一部の機関は **target = 無リスク金利または最低許容リターン(MAR)**を使用、「年率 X% 未満が損失」という意味。両方妥当、視点が異なる:
- target = 0 → 「絶対損失」感度
- target = Rf → 「無リスクベンチマーク相対」感度
target = Rf に変更したい場合はお知らせください(API は既にサポート、UI 切替なし)。
延伸閱讀
- 〈Sharpe Ratio:投資効率の測定〉
- 〈VaR vs CVaR:本当に最悪 5% で何円損するか〉
- 〈ベータとボラティリティ:1 枚のチャートで銘柄リスクを把握〉
- 〈Ulcer Index + Calmar:ドローダウン深度と年率リターン比〉(Phase 1C.3 近日公開)
試してみる
- 銘柄分析 → リスク を開き、VaR/CVaR 横が Sortino カード
- ポートフォリオ を開き、Rolling Sharpe 下にポートフォリオ Sortino 新規追加
- 📐 をクリックして公式、target 設定、Rf ソース、サンプルサイズを確認
- 同銘柄のシャープと Sortino を比較、差が大きければ「銘柄の上下変動非対称」を意味